2018年9月19日水曜日

【本日のお知らせ】
『十二人の死にたい子どもたち』映画化発表。

監督堤幸彦、脚本倉持裕、キャストは…お楽しみに。

https://www.youtube.com/watch?v=QUSyLrMGXSk
公式チャンネル 特報

http://wwws.warnerbros.co.jp/shinitai12/
公式サイト

コミック版の熊倉隆敏さんと一緒に映画のロケ取材に行ってきました。
(連載誌であるグッドアフタヌーンで、素晴らしい取材マンガが載せられるに違いないと信じている)

撮影現場は、まさに密室。
空間自体の存在感もさることながら、物語を担う大小様々な道具が巧みに配置されており、よくできた映画のセットというのはそれ自体がおのずと語り出すものなのだと改めて感心させられます。
さらに12人+1人の白熱の演技が、ものすごい数のカメラを通して映し出され、そのすべてを同時に把握する監督に驚嘆。撮影期間中に延々と作られる「仮の編集」映像も拝見しましたが、もうその段階で早くも完成度が高く、思わずじーっと見続けてしまいました。

原作が映像化されるときは常に「この絶好の勉強の機会を逃してはならない」という気持ちが強くこみ上げるものですが、今回は特に、対話というものを表現するにあたっての脚本・演出・撮影の創意工夫に、どえらく感動しました。

来年1月の公開が、とても楽しみ。

2018年7月31日火曜日

本日のあとがき

北極から帰り、絶対的な虚無の氷原を懐かしく思いながらも、旅行記はさておいて執筆に邁進でやんす。まさかここまで〆切が連打になるとは思わず、ひいひい呻きながらも、どうにかなりました。

年のせいか、自分が書いたものをしばしば忘れるようになったので備忘録的にあとがきを書くことにします。


1)『アクティベイター第6回』
行動派で人情に弱い不器用な男と、頭脳派で怜悧で不器用な男。
本来であれば相容れなかったはずの二人の男が、亡き女性を介して義兄弟となり、巨悪と難事件に挑む……という大好物な人物造形に、いつの間にかなっていました。
ミリタリー設定はからっきし弱いので、専門の方(素晴らしく素敵な本職の方々をご紹介いただくことができて大感謝!)に助力を仰ぎ、単行本にまとめる際、そのときの最新情報に即して修正する予定です。
今話は、8月売り「小説すばる」に掲載。
(「〇月号」と「〇月売」と「〇月〇日と配本」のズレとか、だんだん分からなくなってきます。間違ってたら後で直します)


2)『剣樹抄 第4回』
前話は、吉原の花道で「外八文字」を考案したお勝さんと、歌舞伎の題材にもなった旗本奴・水野十郎、ならびに町奴・幡随院長兵衛に、ご登場を頂きました。
今回は、お相撲さんがテーマです。
「初代横綱」として力士碑に名を刻まれた方が、ご登場。
そして当時、江戸一番の怪力として知られたもう一人の方も、ご登場。
水戸光國が青春を送った江戸初期は、身分の上下にかかわらず、あっちもこっちも天才的な規格外の人達ばかり。まるで、びっくり箱みたいな時代ですね。
ちなみに、江戸初期の相撲は、殴るわ、蹴るわ、しかも関節技もありだわ、総合格闘技みたいな武芸だったようです。
巨漢たちと対峙する、光國と「くじり剣法」の了助の活躍をお楽しみ下さい。
こちらは、8月売り「オール讀物」に掲載。


3)『十二人の死にたいこどもたち』文庫版・改稿(初稿)
ちょっと予定外に改稿スケジュールがぶっ込まれて、これは北極なんかに行く作家にはそのあと何が起こるか思い知らせてやろうということでしょうか。
まあ、行く前から言われてはいたのですが。
以前、公式Twitterアカウントでもつぶやきましたが、目次からして修正するというのは、冲方作品には割と珍しい改稿。
コミック版(画・熊倉さん)のクォリティの高さに負けないよう、しっかり磨きをかけて参りますので、ぜひお手にとってみて下さい。
十月発売予定です。


4)『麒麟児』単行本・改稿(初稿)
前半はほぼほぼ書き直しました。もともと予告編を二つも出した上に、明治150年記念に合わせて、どんどこ進めた連載でしたので、かなり重複するところもあり、ごっそり加筆修正。ようやくすっきりまとまりました。
戦火を防ぐため、むしろ何もかもを焼き払う覚悟で、ギリギリの対峙へと赴く二人の麒麟児のぶつかり合いをお楽しみ下さい。
十月発売予定です。


5)『月と日の后 第6話』
いよいよ藤原氏のドロっドロした歴史に突入。
とある席で、「今、中宮彰子を主人公にして書いております」と話したら、『はなとゆめ』の読者の方から、
「あなたは行成(裏切り者)か!」
と叫ばれてしまいました。
割と多い反応ですが、彰子も彰子で大変な人生です。彰子14歳。定子の産んだ皇子を養育しろと言われ、呆然としながらも皇子のために奮起するあまり、藤原氏が秘めた禁断の歴史の扉を開けてしまう彰子をお楽しみ下さい。


6)アニメ『蒼穹のファフナー』
着々と進行中。8月はイベントですね。聞くところによればカノンがいなくなった日に合わせてきたとか。生誕祭以外も押さえにきたということでしょうか。詳細は公式を待て。


こう言っては何ですが、二週間ほど消えた割には、真面目に仕事をしていますよ。そうは思いませんか。そろそろ失踪していいですか。


7)『マルドゥック・アノニマス 第22回』
これから書きます!
バロット+ウフコックVSハンター陣営、引き続き大盛り上がりの巻。



2018年7月19日木曜日

本日のお知らせ『破蕾』

『破蕾』(講談社) 7月30日発売予定→配本8月1日

担当さんたちが異様にノリノリ。カバー絵と挿画を新規発注した上、函入り(はこいり)にするなど、猛烈豪華な本に仕上げて下さっております。
7月頭に発売予定であったのを、発売日をずらしてまで製本工程を充実させる気合いの入れよう。ぜひお楽しみに。

カバー絵および挿画は、現代日本画家の山科理絵さん。
美麗カバー絵を一部ご紹介。
妖艶かつ清廉。とんでもなく素晴らしい。



その他の作品の発表・刊行予定。

刊行
10月刊行(予定)『十二人の死にたい子どもたち』(文藝春秋)
10月刊行(予定)『麒麟児』(KADOKAWA)

発表
8月売り「小説すばる」 『アクティベイター』連載中
8月売り「オール讀物」 『剣樹抄』第4話
8月売り「SFマガジン」『マルドゥック・アノニマス』連載中
8月売り「歴史街道」  『月と日の后』連載中

どうぞご笑覧下さい。

2018年7月13日金曜日

本日のお知らせ JT「ちょっと一服ひろば」


北極へ旅立つ前に脱稿した、JTさんとのコラボが、「ちょっと一服ひろば」にてウェブ公開スタートしました。
題して、『スモールプラネット』。
以前に書いた『天地明察』とのコラボにちなみ、なぜかいちいち星を話題にするサラリーマン北地とその部下・水橋のショートストーリー全5話。
どうぞ一服しつつお楽しみ下さい。

「ダ・ヴィンチ ニュース」

JT「ちょっと一服ひろば」

※JT「ちょっと一服ひろば」は、満20歳以上のたばこを吸う方に向けた
ウェブサイトであるため、閲覧には『JT スモーカーズ ID』が必要です。

2018年7月10日火曜日

北極航路1

途方もなく広く、凍てつく海。
圧倒的な酷薄の美が、生命を限りなく際立たせている。
一切の虚構が消え失せ、むしろ何もかもが幻想のようだ。

というわけで北極に行ってきました。
執筆の合間に、こつこつ楽しんでアップしようと思います。
まずはハイライトを掲載。



ロシアの原子力砕氷船「50レットポビディー号」。
英訳は「50 Years Victory」。
第二次世界大戦での勝利50周年を記念し、造られた船であるそうな。
勝った相手は主にドイツだが、乗客にはドイツ人がおり、多くの日用品がドイツ製品であった。そのことに歴史を感じる。



白夜の蒼穹に昇る陽。
くっきりと浮かび上がる影の背後へ、それまで自分がいた場所が限りなく遠ざかる。
「旅」の思いが消え、心が未知の生活へ備える。



白く、ただ白い。
青ざめた白さだけが広がる氷原が、かつて数多の冒険家をいざなった無数の幻想を生み出した。



北極の王、ポーラーベア。
シロクマ、あるいは北極熊。
凍てつく海の上を、我が物顔で歩む、ゆいいつの獣。
彼らが闊歩するため、北極の鳥たちは今も飛び続けねばならず、アザラシたちは氷上に出るだけで命がけだ。
どちらも、南極で安息の地を得たペンギンやアザラシたちがさぞ羨ましいだろう。

ちなみにシロクマの肌は黒い。
毛を剃るとクロクマになる。
(※クマは超望遠でないと上手く撮影できないため、写真を分けてもらいました。Thank you!!)



分厚い氷を粉砕し、人々を難なく北極に運ぶ。
現在、北極点にまで確実に辿り着けるゆいいつの砕氷船らしい。
過去、百何十隻という船が北極を目指し、そのすべての経験知が、この一隻に集約されている。
乗船中は、人類の強さがいかなるものか、絶えず体感させられた。




江戸時代のコンパスの大人気ぶりを見よ。
おかげで様々な国の人たちと楽しく賑わえたことを大いに感謝します。
その針のご明察ぶりは後日ご紹介。



そして北極点到達につぐ、もう一つのメインイベント。
北極海へダイブ。
乗船した各国の乗客が、口をそろえて「Crazy!」と叫ぶ。
叫びながら、水着姿で次々に飛び込む。
未知への冒険は、かくして万人の娯楽となる。
苦難がもたらす知恵の果てに、遊び戯れる人間を讃えよ。
人間を生かさしめる摂理を讃えよ。


というわけで、大いにはしゃいだ。
飛び込んだあと、飲んでいるのはウォッカ。
寒中水泳を経験された方ならお分かりだろうが、「死」を感じるほどの冷たさに凍えた直後、体の内側から猛烈な熱が発せられる。体が生きようとして発熱するのだ。
自分に与えられた「生」を、手触りで感じられる瞬間でありました。




旅の体験は、やがてインスピレーションとともに執筆の体験へ。
そのときを楽しみに待ちつつ、今の執筆に励まねば。

つづく。

2018年6月23日土曜日

【デビュー22年目の夏休み】

技術が蓄えられ、知識が増えると、技術や知識だけで書いてしまうようになる。
知らず知らずのうちに、だんだんと感性に欠けた執筆になってしまうことが、一番怖い。
感性が豊かに「みえる」文章を書いてしまってはよくない。
技術と知識があれば、ある程度、それっぽく書けてしまう。
ここ数年、それがずっと懸念材料であった。

筆力がつけばつくほど、それに頼るせいで、自分本来の感性が置き去りにされてしまうということがある。
感性を発揮し続けるには、感性を刺激せねばならない。
そのためには、未知の体験を己にぶつけてやるのが一番いい。
未知でいながら、心のどこかで希求していたことであれば、なおいい。
しかもそれが、二度とないくらいの体験であるなら言うことなしである。

そんなわけでデビュー22年目にして、初の本格的な夏休みをとることにした。
ちなみに連載原稿は五本とも終わらせた。
いまどき、旅をしながらでも原稿のやり取りができるではないか、無理に前倒しで仕事を片付けることもない、と思うむきもあろう。
ノー。
電波すらまともに届かないフルデジタルデトックスな環境こそ、感性を磨くにふさわしい。

そんなわけで。
北極に行くことにした。



ここだ。
北極海を越えて、この、北極点に立つ。
地球上最強の避暑地の一つといっていいだろう。
蒸し蒸しした梅雨時の日本から脱出する先としては最高の地に違いない。

そこは、全ての方角が南になる場所だ。
一休さん的にいう真の浄土、すなわち「みな身にある」場所の対局だ。
フェストゥム的な決戦の地だ。
そして、究極の北極出地だ。

おお、そうだとも。『天地明察』的にいう、北極出地の究極ではないか。
ならば、以前、対談の際にプレゼントして頂いた、江戸時代に作られたという、あれを持っていくべきではないか。



これだ。
重さ一キロ近くある、数百年前のコンパスだ。

こいつを持って北極点に立てば、全ての方角が南になるゆえ、針がくるくる回り続けるに違いない。
それは、渋川春海さんですら想像だにせぬ、ご明察な回転であるに違いない。

ただそれを見るためだけに。
ただ何もない光景を見るためだけに。
行こう。

いざ北極へ。
いってきます。

2018年5月22日火曜日



【エンディングテーマで】※本日の試写会※【腹筋崩壊した】

#デップー見た。
↑ハッシュタグとのことである。

本日、『デッドプール2』完成披露試写会にて席を用意して頂けると知り、『マルドゥック・アノニマス』の〆切直前だというのに猛烈ダッシュで駆け込んでしまった。
これはポップコーンが必要不可欠だと思ったがその通りだった。

二十世紀フォックスがディズニーに買収された際、「デッドプールは!? ディズニー映画になるのか!? それともなかったことにされるのか!?」と心騒いだ記憶は今なお新しい。
結論から言えば、まったくもってサウストン・ハウエル・デッドプール3世による、(略)の、(略)のための、映画であった。素晴らしい。名作をおちょくるなら手加減なしにやるべきだという見本だ。
これは、コメディであり、古き良きスラプスティックであり、仰天レベルで素晴らしいアクション映画だ。
世界81カ国で、この作品がのきなみトップを総なめする今の世の中も怖いが、しかし、やはり、かくあらんと思わされる。
これはまさに本格ディズニー映画……もとい、本格スーパー爽やかに下品でファミリー意識の高い痛快きわまる全世界向けディスりー映画であった。まさに現代世界が求める映画といっていい。
画像の「プレスキット」冒頭の特別メッセージからして秀逸すぎる。

これを読んでいるということは、本来の仕事をやらずに、打ち合わせを抜け出して気分転換でもするつもりだろう。まあ、もうちょっと何かやる気があるかもしれないな。

模範にしようと思ったほど、素晴らしいメッセージの冒頭だ。
とにかく最高だ。