2017年1月22日日曜日

続・出版指標



【続 出版指標年報を読んでみた】
カオスな本棚の絵が可愛い、「全国出版協会・出版科学研究所」が発行する『出版指標2016年版』。

病気療養にベッドでごろごろしながら読む。
当然のことながら示唆に富んでいるので、備忘録的にメモしてみよう。

「取次経由の出版販売額――ピーク時から1兆円規模で減少」
たまさか僕がデビューした1996年をピークとして急減。
94年~98年の販売額が2兆5千億円以上であったのに対し、2015年は1兆5千億円。
成長産業であった出版が、30年前の1980年代前半の水準にまで下がったことがわかります。
08年までずんずん下がっていましたが、リーマンショックに加えて東日本大震災があったせいか、09年以降の下がり方は加速的。
いまや転換点を迎えているといっていい。

「出版概況」
『多様な本が売れて』おり、ネットで拾った知識を『掘り下げたい』ときの需要としての書籍が堅調。
娯楽性の高い文庫本はのきなみ不振に。

「雑誌は不振が続く」
『若い読者向けの雑誌がまったく登場しないということは、出版社側も若い人が雑誌に関心を持っておらず、市場性がないと見切っている』と指摘。
雑誌全般の部数減により、雑誌販売を柱としていた、『中小書店の廃業が止まらない』。

「電子出版の市場は1,502億円」
縮小傾向のDVD市場と、だいたい同規模にまで電子出版が成長してきた。
電子出版の成長はコンテンツ主導ではなく、読み放題などサービス主導で大幅増。

「ノウハウ本が盛況」
『自己啓発書・生き方本からヒット続々』となり、ジャンルが細分化。
片付け本ブームが日本のみならず欧米にも広がるなど盛況。
15年にヒットしたテーマは、『所有物を減らし暮らしをスリムにすることで、思考がクリアになり、人生もうまくいく』というもの。

「ムックは半分以上が返品」
『返品率、ついに50%を超える』
雑誌社の定期雑誌が不振であることから、売り上げ補完のためムックの刊行点数を増やすも、書店の棚スペースの限界などにより、『供給過剰の状態』に。

「コミック市場規模は紙+電子で4,437億円」
『紙の落ち込みを電子が補完して』、4,000億円規模を保持。

「コミックではメディアミックスの効果減」
映像化作品点数は『前年より10点ほど少ない180点』で、『映像化作品の返品増が目立った』とのこと。

コミック誌は新たなコンテンツを生み出す場として必要不可欠である一方、コミック作品へふれるポイントが多様化し、『コミック誌を定期的に購読する習慣は失われつつある』と指摘。

「趣味・スポーツ・経済の雑誌の出版傾向」
・好調
『IoT、人工知能に注目集まる』
『読書術、情報整理術本の人気継続』
『アドラーブーム拡大』
『昭和天皇実録』ヒット
『鉄道雑誌、軒並み好調』
『ラグビー関連誌が絶好調』
『株関連・マネー誌好調』
『ミドルエイジファッション誌好調』
『20~30代ファッション好調』
『「妖怪ウォッチ」関連付録で小学館の学年雑誌が健闘』

・不調
『女性誌、全体で8.6%減』
『幼児誌が苦戦』
『パチスロ誌マイナス傾向』
『新車情報誌、4年ぶりのマイナス』
『歴史雑誌が大幅減少』
『アダルト誌低迷』
『タウン誌も休刊・刊行変更相次ぐ』
『嫌中・嫌韓』特集、反応下がる。

これくらいで。
こうしたデータ分析はいずれも結論ではなく前提。実地に現場を知り、どう理解し、どう動くかが重要だと冒険投資家のジム・ロジャースさんなども言っていますね。
貴重なデータから、次の10年を見据える『指標』を探すことにしよう。

なおこの年報、上記以外にも多種多様な出版物の分析に加え、CD・DVD・BDや他ジャンルについても網羅されている他、日本全国の文学賞・新人賞も記載されています。

作家志望の方々は、この年報を読み、業界の現状や、自分が好むジャンル、書きたいと思っている作品がどんな市場に置かれるかを知った上で、原稿を送るべき新人賞を選ぶのも良いのではないでしょうか。

【公益社団法人 全国出版協会 出版科学研究所 通販HP】
http://www.ajpea.or.jp/book/0-2016/index.html


出版指標




【出版指標年報2016年版を読んでみた】
先日、「直木賞・芥川賞は、2月8月の本が売れない時期の盛り上げも意図されて創設されたらしい」というようなことを書きました。
本当にそういう意図があったのか、という点はそのうち改めて事情通の編集者に尋ねるとして。
実際に「2月8月は本が売れない」のか、データを見てみました。
年末に届いたまま積読状態だった「出版指標年報」を、療養がてら読んでみたところ――

結論から言うと、2月8月に発行・販売が落ちるということはない。
では、最も売れない月は? というと、5月。
2015年の月次データによれば書籍、週刊誌、月刊誌、いずれも5月が最低。
びっくりするくらいその月だけガクッと下がっている。ただ低いのではなく、前年比においても最も落ち込む。毎年5月に、なにか一年の「つけ」が回ってくるかのような谷間の時期となっている。

逆に最も売れる月は、3月。
この月だけ、飛び抜けて発行・販売が多い。卒業・進学・就職の時期だからだろうか。
2015年3月と5月を比べると、たとえば書籍販売データ上では、倍以上も差がある。
(書籍推定販売部数 3月8,864万冊 5月3,927万冊)

3月咲きの、5月枯れ。はて、なんでだろう。
企業の年度末、ゴールデンウィークの長期休暇化など、いろいろ理由もあろうことなので、そのうち改めて事情通の人々に尋ねてみよう。





【白湯ばっか】待ち会サミット無事終了【飲んでました】

『十二人の死にたい子どもたち』直木賞ノミネート待ち会&サミット総選挙結果発表。

前々夜に胃腸炎が襲来。リバース&エグゾーストでのたうちまわり、もうろうとして迎えたイベント当日。サミット会議で「全員正装」と決まったため前年に予約したセール30%オフのスーツが手違いで届かず、イベント開始十分前に会場に運ばれるというネタのおまけつき。
他にも大小トラブルが重なり、今年の厄払いはひといきに終え、全て結果オーライ。

かつてサムライはセップクするとき腹の中身を綺麗にするためわざと腹を下したと『シグルイ』か何かで読んだ通り、これぞ精進潔白。
「顔と胴回りがしゅっとしましたね」と、おびただしいリバースの成果を讃えるサミット・メンバー(鬼)。
アパレル系の方にその場でぴしっと着付けてもらい初スーツでも綺麗に着こなせましたよ。
そして病み上がりのリハビリにこの文を書いているため、久々にブログもしっかり更新なのです。

そんな裏事情がありつつ。
平日夕方五時、イベントとして成り立つのか疑問視された時間帯にもかかわらず、集って下さったファンのお陰で、大変有意義なイベントとなりました。

合否の電話を待つ間の、サミット企画・総選挙結果発表のあのやたらと神妙な空気。
電話が鳴った瞬間、会場の全員が沈黙し、コール音だけが鳴り響くさまは、なかなかないリアルイベント体験だったのではないでしょうか。
結果は残念でしたが、おかげさまでまたふつふつとやる気がわいております。

誰かが受賞したことも、単純に嬉しい。最もしょんぼりするのは「該当者無し」で、これはもう、なんと言ったらいいかわからない気分にさせられたと思います。
受賞された恩田陸さんとお会いしたことはありませんが、担当編集者がときおりかぶっていた親近感のせいか、自然と嬉しく思えました。大変おめでとうございます。

それにしても。

受賞ならずとなった作家には新たな気分(良いか悪いかは本人と周囲次第)を与え、読者には作家と業界に注目するきっかけを与え、業界には売れどきを設ける。忌憚ない言い方をさせてもらえれば、(注目される作家の心身には酷ですが)非常に良くできた賞だと思います。

「2月8月の本が売れない時期をしっかり盛り上げよう」というのが賞の創設者・菊池寛の考えだった――
と聞きかじっており、本当にそうか、根拠となる文典を読んだわけでもありませんが、なるほどこれは効果的な施策で、百何十回と続けられるわけだとノミネート二回目にして改めて思わされた次第。(作家のヘイジョーシンはしばしば危機に陥りますが)

その点、本来であれば作家が一人で悶々としている時間を、試行錯誤ながらイベント化できたことは、業界を刺激しようという賞の意図に、多少なりとも寄り添えたのではないかと思います。

ちなみにこれまた聞きかじり。
菊池寛は「金のない書き手志望者や女学生に翻訳小説などのシーンをばらばらに分担させた」とか「小説のシーンを割り振って書かせた」といった、集団執筆も試みたとか。
本当かどうかはさておき、そんな話を聞いたことをきっかけに、初期アシスタント制度や、二次創作解禁、冲方塾、アニメの脚本制作での分担方針といった、「集団執筆」を思案したものでした。

サミット総選挙の結果の結果や、冲方塾の今後についても、引き続き告知して参ります。
サミットツイート @ubukata_summit
サミットブログ http://ubukatasummit-blog.blogspot.jp/


2017年1月2日月曜日

明けて2日


地球照(アースシャイン)と月と金星と火星の競演。
年明け早々、豪華な夜空。(´∀`=)
星の軌道のように〆切も交錯中。