2015年8月5日水曜日

【本日の創作四方山話】

そんなわけで冲方塾なる企画がスタートいたしました。
http://www.ubukata-juku.jp/

冲方自身も日々、創作とはなんぞやと試行錯誤を重ねる身ですが、そこはかとなく培われた知識や技術や感性があり、それらを人に伝えるという努力を通して、明文化しつつ自分なりの再発見をはかってゆこう、などと思います。

物語の作り方は現状、冲方にとって二通りあって、一つは「具材が決まっている」、一つは「料理法が決まっている」となり、まあ第三の「自由に書いてよ」が本来の作家業なわけですが、それは完全新作立ち上げ時に限るわけで、たいていシリーズもの全盛の昨今では前者の二通りが多いか、前者二つの制約が同時に課されている場合が大半である。

第一の具材が決まっているというのは、描かなければいけないキャラや世界が漠然と決まっているか、もう本当にふざけるなよというくらいかっちり決まっていて、まあどうにか工夫して新しいものを作ろうよ、ということになります。昨今はそういう企業的ニーズが多い。

第二の料理法が決まっているというのは、ジャンル、媒体(雑誌や番組枠)、売り出し方、作家のイメージ、映像化、キャスティングなど、もろもろすでに決まっているんだけど、そこにキャラとかストーリーとか何もないから作ろうよ、作ってよ、というもので、これも本当に多い。

現代社会はエンタメを極度にビジネス化したため、これらの制約に耐えうる書き手が求められることが多い。
そして二次創作というのは、こうしたビジネスライクな作り方を完全無視してそのつど好きなことが出来るという点で、きわめて自由かつ楽しかろうという本来的な創作行為であり、まったくもって新人育成にふさわしいのである。

が、驚くなかれ、そのままでは育成にはならない。
二次創作では、すでにあるキャラクターを用い、制約を無視して楽しく物語を作ることができる。そういう舞台で素晴らしく斬新なものを作る人もいる。だが、プロの現場で本来の持ち味を発揮できなくなることが多い。

いろいろとこちらも試行錯誤しつつ得た結論としては、とかく身に着けた技術が、違う。
舞台はあれど踊ることかなわず。踊れないのに振り付けを与えられて苦悶する。

二次創作というかアマチュアというか制約のない舞台で喜びを求める技術と、プロとして原作権すなわちオールライツを獲得する技術は、重なる部分もあるが、往々にして違う。
どちらの技術も、物作りという点では似通っている。得られる喜びも非常に似ている。だから混同されがちだ。

そんなわけで冲方塾という企画が発進してしまったからには、それらの技術の相違を把握し、示すということを試みたい。
二次創作をはじめとするライツとは無縁のゆるやかな創作。
自分が作り出したものや様々なビジネスに常に縛られつつも権利を持つというプロの創作。

どちらも否定せず、人生を豊かにするものとして、それぞれの技術を可能な範囲で伝えてゆきたいと思います。

と思いつつ、また次回(いつだよ)。