2015年8月12日水曜日

【創作四方山話 創作の距離②】 

近くへ引き込むか、遠くへ届けるか

すでに遠くまで届けられ、広く売れたテーマを、自分にとってわかりやすいモチーフに取り込み、想定内の身近なニーズに届ける、ということが、二次創作では頻繁に見られます。
いわば、「遠い場所にあるものを、だんだん自分に近い場所に引き込んでいく」わけです。

一方、自分たちに身近なテーマを、誰もがわかるモチーフで描き、なるべく遠いニーズにまで届けようするのが、商業作品の大半です。
その最たるものが、ハリウッドでしょう。「自分達の独自の文化を、非常にわかりやすくかみ砕き、どんどん遠くへ放つ」ことで、年齢も性別も問わないどころか、文化すら違う国にも広めようとする。

二次創作と商業の最大の違いが、これです。
遠いものを身近にしてゆくことと、身近なものを遠くへ届けようとすること。
アマとプロの、ベクトルの違いといってもいいかもしれません。

二次創作を楽しみながら腕を磨いたにもかかわらず、商業誌に場を移した途端、表現が硬直する理由の多くは、テーマ・モチーフ・ニーズの距離がつかめないからです。

すでに商業的に広く普及したテーマではなく、権利が主張できるようあなた自身の内にある身近なテーマを描けと言われて戸惑う。
大勢に届けるということがピンとこず、一部の人間だけが好みとするモチーフを武器としてしまう。
ニーズが遠すぎて実感できず、誰に向かって描くべきかわからなくなり、「読者がつかめない」状態になってしまう。

媒体や時代が変われば、距離感も変わります。
重要なのは、自分に最適な距離を見つけ続けること。
そしてまた、様々な距離で、それぞれ必要とされる技術を、身に着けてゆくことです。

次回からは、そうした様々な技術を検討してゆきたいと思います。