2014年7月21日月曜日

☆本日のお知らせ=「一分でわかる冲方作品動画の募集」プレ告知
  おまけ=二次創作について考えた「ホールドアップ編」☆

 さて、二次創作について考えたきっかけは、そもそも冲方サミットの会議にて「動画を一般公募しよう」と提案されたことにあります。
 先のイベントにて流された、編集者たちが涙ぐましい努力で、あるいは大人の力を駆使して作った動画がございます。
 各自の担当作品を、頑張ってだいたい一分で説明するという動画で、まあ、作るのに時間がかかるわ、何点かは大いに残念でダメなことになっているわ、なんとも仕方がありません。

 こうなっては一般公募し、選ばれた動画の制作者には様々な賞品をプレゼントしてしまおうではないか。

 そんな企画が、サミットHP等で告知されるはずなのですが、まだ整備に時間がかかるので、先に君のブログで話しておきたまえ、と申しつけられた次第。
 



【◎「一分でわかる冲方作品動画」募集の骨子】
・冲方が執筆した、もしくは関わった作品のいずれかを、だいたい一分で説明する動画を募集します

・版権物は一切使わず自力でどこまでできるかトライしていただく。あるいはフリー素材をお使いいただく。

・ロゴやキャラクター等のデザインを模写することについて、「著作権的にどうなのか、嫌がるクリエイターは本当にいないか」といった問題は、二次創作の許諾に大いに関わりますので、あらかじめクリアにしておきます。

・応募手段は、ニコニコさんの冲方サミット・チャンネルを活用することになるでしょうが、まだはっきりとは決まっていません。

2014年中に始動し、年末もしくは来春にて発表するでしょう。

・最優秀作品の作り手には「冲方作品に登場する権利」が与えられます。

 ※受賞された方のお名前が、冲方の新作に登場する誰かの名前になります。
 お名前はご本名でもペンネームでも可能です。
 公序良俗に反するたぐいのお名前にしたい場合、一行で登場して退場してしまうこともありますのでご了承下さい。
 最後まで生存するか、無惨に散るかは、そのときの運ですのでご了承下さい
 時期的に連載中か出版間近であろう『テスタメントシュピーゲル』が対象となりそうですが、それ以外の作品や、小説以外の媒体になる可能性もあります。どうなるかは運ですのでご了承下さい


 骨子は以上です。詳細は改めて発表させていただきます。



【二次創作について考えた「ホールドアップ編」】

 ところで、先日ブログで書かせていただいた、二次創作の「全面解禁」を許諾する規約ですが、作品によっては下記のような様々なホールドアップの方法が想定されます。


1)「一次作品(原作およびメディアミックス)の生産・流通・販売を阻害しない限りにおいて
 
 この一文を加え、作家側がその「監督」を出版社などに委託する形をとることができます。
 出版社などは、「作家の意向を受けた上で、製紙・印刷・流通・通信販売・電子販売・書店さんなどと広範囲に二次作品に関して交通整理する」ことができますし、深刻な交通事故をかなり防げるでしょう。

 
 冲方個人が何かするせいで他に迷惑がかかる場合もありますので、かなりのケースでこの限定が必須になるでしょう。

 あるいは、もしアマゾンさんが、キンドルさんとも連携して二次創作作品を大々的に売り出し始めるなどした場合、多くの作家=出版社が一体となって交通整理をする必要が生じるでしょうから、あらかじめ上記の態度を明確にしておく必要があります。


2)「期間設定

 対象作品を限定するだけではなく、「何年何月何日から一年間」とか、「公募期間中」とか、「番組の最終回が放映されてのち半年間」とか、期間を設定した解禁が可能です。

 期間が過ぎたらおしまい。それ以降は許諾しないとする。公認のお祭り施策として行うことができますので、許諾が容易になるかと思われます。

 また、「特段の事由がない限り、毎年、更新されるものとする」としておけば、いちいち更新を発表する必要もありませんし、問題が生じた際のみ更新の中止を発表するだけで済みます。


3)「定期設定

 たとえば「毎年、8月と12月に限る」と明記する。
 こうすると、自動的に「特定の即売会のみに限定する」ことが可能です。
 それ以外の時期における通販などに関しては、細かく規定せずとも、「許諾しない」という態度表明が可能となります。
 
 


お馬鹿な動画を関係者が作る」ということを真面目に考えたことがきっかけで、びっくりするくらい、とにかくいろいろと考えなければならなくなる。
 結局はそれが、一次も二次も関係なく、この時代の作品作りに携わるということなのだと思います。



2014年7月17日木曜日

☆本日のお話・二次創作について考えた③☆

 いろいろと書いて参りましたが、重要なのは冲方とその共同広告ユニオンである冲方サミットが今後どうしていきたいかということに尽きます。

 結論から申し上げれば。
①二次創作を全面解禁する。
②ひいてはメディアミックス作品のどれもが一次創作であると明確にすることでトラブルの種を一掃する。
③サミットの大命題であるユーザーとの距離をいっそう縮めるべく、ともに作品を盛り上げて下さるファングループを募り、優先的に作品のリリースをご提供できるようにする。
④一次創作者も二次創作者も全てのユーザーも、海賊版や違法ダウンロードや不適切な中古販売といった、業界を消耗させるしろものの規制や抑制をはかっていく。
 これらをどうにかして実現したい所存。


【①について:最初の一歩としての二次創作全面解禁】

 まず二次創作について、可能な限り契約書の発行といった法務をなくし、利用規約に基づく活動を全て自動的に許諾するかたちをとる。

 そのための主な規約は、下記を主眼とする。
1)許諾する一次創作作品を限定し、所定のサイトもしくは発行物において発表します。
2)二次創作者は、二次創作作品の冒頭(表紙、紹介文第一行、冒頭部分、その他最初に目にする場所)に、『これは○○(許諾された一次作品タイトル・発行・著作者)の二次創作です』と、一次創作作品との関連について、誰もが見て取れるかたちで明記する。
3)一次創作者への許諾の対価は「一次創作作品のソースの拡散」とみなし、それ以外の対価は要求されない。
4)上記をまっとうしないものを二次創作とみなさず海賊版として扱う。

 さらに、二次創作者に、下記二点を定める。
5)二次創作作品の製作・販売・配布・上映等に伴う責任は、全て二次創作者が負う。
6)二次創作作品の著作権は、二次創作者に帰属し、そのいかなる利益も許諾する。

 つまり、二次創作によって利益や評価を得ることを認めるだけでなく、「新人賞への応募」なども許諾するということです。

 たとえば、規約を守っている限り、冲方が書いた短編小説を用いてスピンアウトを作ったり、そのまんま忠実に漫画化したりし、さらにその原稿を用いて出版社などが主催する新人賞に応募しても良い、ということです。

  受賞させるかどうかは、出版社次第。「話を作れるかどうかわからないが漫画は上手い」とか、「文章に魅力がある」といったことを見て取った編集者が応募者とコンタクトを取っても、冲方サイドにいちいち確認する必要はありません。
 ただしご連絡があれば色々とお仕事のお話ができますし、推薦コメントくらいは書きます。

 また、そのまま受賞作を連載したいという場合は、発行媒体が「出版社公認の同人誌」といったしろものでない限り、一次創作作品との契約と対価のやり取りが必要となりますので、関係者の承諾のもと、改めてメディアミックスとしての契約を交わすことになるでしょう。
 その際、この作品のこの部分はこういうタイミングで発表するので……云々といった情報交換をすることで、効果的な宣伝をはかることもできます。

 むろん『二次創作である』ことを明記しないものは、全てこれ海賊版とみなして対処をいたします。
 
 これは、「大事な表現の場だから」「二次創作を黙認しているのは宣伝になるから」「二次創作は人材育成に必要だから」という、しばしば語られるエクスキューズを、思い切り公的なものにすることで、さらに公的にいろいろとできるようにするのが目的です。

「表現の場」であるならちゃんと整備し、「宣伝になる」のであれば積極的に活用すべきで、「人材育成」になるのであれば、きちんと称揚し、プロとしての道のりや心構えを身につける気がある人には、それらを正しく教えるべきなのです。
 
 同人誌市場がこれほど巨大になったにもかかわらず、「同人誌大賞」といった称揚のための仕組みがまったく存在せず、ただただ放置して誰がどんな利益を得ているのかわからないというのは、「人材育成」という点からすれば、なんとももったいないのです。


【②について:メディアミックスは一次創作】
 
 また、メディアミックスを二次創作の延長とみなす考え方をやめる必要があります。
 契約を交わし、原作使用料という正当な対価を支払っている限り、それらは独立した一次作品なのです。
 一次作品であるのだから、メディアミックスのさらなるスピンアウトといった作品づくりを用意にするための交通整理をしっかりやる。

 ちなみに原作よりメディアミックスやスピンアウトの方が名が残ることはしばしばあります。古くはロバート・ブロックの小説の例があり、彼の名は驚くほど日本で知られていませんが、ヒッチコックに原作を提供した人です。
 原作とあれやこれやが違うにもかかわらず話題になって非常に悔しい、というなら頑張るしかない。そういう態度でいいのではないでしょうか。そうでないと、訳のわからないブレーキがかかって途方もない労力が無駄に消えていくばかりです。

 むろん原作重視のメディアミックスの場合、原作者が書いたにもかかわらず原作と違うといって脚本を突っ返される場合もあります。この場合、原作者は原作者ではなく、脚本家として企画に参加している一個人に過ぎないのです。


【③について:ファングループの形成】

 特定の登録サイトなどを設置し、義務づけは難しいでしょうが、可能な限り、二次創作者の方々に登録していただく。
 こちらも誰がどんなことをしているかを把握できますし、誰がどんなことをしていようと彼らの責任だという態度でいられますし、会社のみならず官憲が動くような馬鹿げた事態になればすぐに対応できます。
 さらには、登録していただいた方々へ優先的にリリースを提供したり、特典として配布されるような設定や資料集などをお配りすることが出来ます。

 これも「宣伝」や「人材育成」への積極的な態度になります。


【④について:海賊版や違法行為を浮き彫りにする】

 ①②③を繰り返しトライし続けることで、海賊版、違法ダウンロード、集団窃盗による中古販売など、業界を消耗させることはなはだしい悪質な行為の規制と抑制を、みんなで目指すことができます。

 国内だけでなく、海外のサイトで勝手に登録されていたり、あり得ないコピー品が売られていたりしても、きちんと無視をしましょう、と呼び掛けてゆく。
 そんなものを許していては、新しくより良い作品が作られることを妨げることになるのだと業界のみならずユーザーの間でも共通了解としていけるのではないでしょうか。


【補足:二次創作とはみなされないもの】

 なお、様々な点から二次創作としては認められないものもあります。

・学校教材や試験問題などの出版における引用や問題集作りといった利用。
・演劇化。
・図書館などにおける、点字訳、朗読、音訳CDといった利用。
・雑誌やサイトなどへの転載。
・多言語への翻訳。
・これらに類する利用。

 これらを創作と定義することはできませんので、現時点では、個別に許諾してゆきます。
 

※ご指摘があったことから追記します
 なお、Kindleをはじめ電子書籍の普及に伴い、「朗読出版」が今後、より一般化してゆくことから、視覚障害者の方への出版物・朗読作品が本格的に商品化される見込みですでの、今は一概に許諾できない状況にあります。点字訳は元来、法的に認められてはいるものの、商品化が一般化されることに伴う改正を視野に入れざるを得ない状況ですし、翻訳の範疇ですので、二次創作に関する議論においては除外させていただきます。
 また、演劇は著作権上、いまだ明文化されていない、あるいは著作物として認められないことがらが多く、現状では二次創作の範疇から除外せざるを得ないことをご了承下さい。


【引き続きサミットで発表して参ります】

 以上です。
 実現した際には、冲方サミットのHPやイベントを通して告知して参ります。

 
 
「一分でわかる冲方作品動画」の募集とグランプリ賞につきましても、改めて告知させていただきます。どうぞ宜しくお願い申し上げます。


2014年7月15日火曜日

☆本日のお話・二次創作について考えた②☆

 先日は疲労困憊していたせいか、やたらと大ざっぱで皮肉っぽい上に前のめりに過ぎるしろものを書いてしまったため、本日は実例を交え、もう少しまともなものを書いてみようと思います。


 【グレーゾーンとは何か】

例1) ある有名作品の「最終回」を同人誌として出版した方がいました。おそらく本人の意図を超えてその「最終回」は話題となり、学校教育でも取り上げられるという人気を博しました。あまりに話題になったため、出版社と原作者がその同人誌を規制しました。

例2) ある人気同人サークルが、同人誌販売店に専属委託するという条件で、大手印刷所での印刷を斡旋してもらいました。しかしその印刷所は出版業界において重要な製造ラインであったことから、「グレーを自らブラックにした」とみなされ、出版社が規制に乗り出しました。

例3) ある小説を原作とした漫画が連載され、大いに好評を博したものの、原作者が漫画に対し不快を表明したことから、漫画の連載は中断されました。

例4) ある作品を原作とした映画の脚本が好評を博し、独自に出版されることとなりました。しかし原作者が、「あの脚本を後世に残したくない」という理由で出版に異を唱えました。結果、脚本の出版は取りやめとなり、脚本家協会はこの件の是非を問うアンケートを実施しました。

 こうしたトラブルはケース・バイ・ケースであると考えられがちですが、実際は全て同じ問題の異なるバリエーションに過ぎません。
 問題のおおもとにあるのは慣習的な「契約の不在」であり、権利者が、ある部数や金額を根拠とするのではなく、「気分を害して当然である」ということを根拠に判断を下しているのです。

 これがグレーゾーンの正体であり、権利上の強者がいつでも好きなときに自由に訴えを起こすことができる慣習的な態度であって、決して、権利上の弱者が自由に活動できるよう、あえて曖昧にしているのではありません
 むしろ実際は逆で、いつでも都合の悪いものは排除し、都合の良いものだけを黙認できるという、きわめて恣意的で支配的な状況、それがグレーゾーンなのです。
 これが「自由な表現の場」と呼ぶにふさわしいかどうかというのも結局は気分の問題であり、それこそケース・バイ・ケースに過ぎません。

 グレーゾーンにおいて黙認される条件はただ一つ、「目立たない」ことです。
 権利者が不快になるような売り上げ、評価、作風、部数などを実現してはならず、下手に好評を博してはならない、というのがゆいいつ絶対の暗黙のルールであるのです。

 そうしたグレーゾーンを脱するには、契約をはっきりさせるしかありません。
 製作や販売が保証される契約を交わしてさえいれば、原作者が怒髪天を衝こうとも、問題が深刻になることをかなりの程度、防げていたはずです。
 ときに「契約をすると不利になりかねない」といったことを聞きますが、そうではなく、単に状況がはっきりするということであって、契約で不利になる人はもともと不利な立場にいるのです。
 とはいえ正当な契約である限り、不利であることには必ず理由があり、ほとんどが利益をどう保証するかという問題によるものです。

例1)新人賞と二次利用の権利
 新人賞の中には、受賞作の二次利用の権利を出版社側にあらかじめ譲渡するよう設定されているものがあります。新人以外でも、売れるとは限らない作品など、あるいは多額の広告費を出すなどの場合、出版社側のリスクヘッジとしてしばしば行われます。

例2)ホールドアップ契約。
 ある原作をメディアミックスする際、「他の会社で同じことをさせない」という契約が結ばれることがあります。たとえば大型の映像企画が動く期間は、他のメディアミックスを一切停止しろといった契約です。

例3)専属契約
 毎月の給金を支払うといったかたちで生活を保障する代わり、他の会社で仕事をしてはならないといった契約です。

例4)権利委託
 全権利を委託するが、ただし期間内にメディアミックス等が成立しなかった場合、最終期限までに制作された全ての成果物もろとも原作者側に権利が戻るという契約です。

例5)一括許諾
 版権管理会社などに許諾料や広告料を支払わねばなりませんが、管理会社が管理する作品の使用を一括して許諾してもらいます。カラオケが代表的で、ニコニコ動画などもこれを実施しているそうです。

 このように、契約にはそれぞれ有利な面と不利な面があり、一概に契約するから不利になるということはありません。むしろ権利と責任を有限化することによって様々なリスクを回避することができます。
 中には悪辣な契約もありますし、詐欺まがいのしろものも多く存在します。
 しかし、それらの見極めを省きたいからと言って、契約がない状態にあるというのは、結局のところ、いつ詐欺以上の打撃をこうむってもおかしくないグレーゾーンに立っているということなのです。

 問題は、契約行為に伴う労力と出費であり、その低減こそ契約を簡便化する最も大きな根拠となるべきでしょう。
 決してグレーゾーンを確保するために契約内容を大ざっぱにするのではなく、法務に奪われる時間と金を抑え、決して悪辣ではない、正当で最適な契約を新たな慣習とすることが、メディアミックス等におけるトラブルを未然に防ぐことになるのです。
 ときには、ニコニコ動画さんの一括許諾のように、ユーザーと個別に大量の契約書を交わすことなく、特定の条件を満たし、特定の利益を根拠とすることで、結果的にすべてのユーザーが契約に参加しているといった状態こそ、新たな慣習的態度となるべきでしょう。

 それでは、原作者はいかなる根拠でもって、一次創作、メディアミックス、二次創作、海賊版の区別をつけ、決してグレーゾーンではないあり方を模索できるのでしょうか。
 

 続きは後日。


☆本日のお話・二次創作について考えた①☆

 先日(7月13日)に開催された冲方サミットにて最後のご挨拶の際に、二次創作を許容することについて、ざっとお話しさせて頂きました。
 まったくもって用意不十分であり、どれほど短くとも数年がかりになるであろう試みであるため、思案第一段としてこのブログに書いて色々と手間を省きたい所存。


【なぜ今さら考えるか】

 同人誌やマッド動画をはじめとする二次創作は、長らく黙認と放置が業界の通例であり続け、慣習的に許可された期間が長く続けば続くほど、まさかここまで関わる人間が増えるとは思わなかったという無責任を絵に描いたような状態となり、誰もあえて口出しすべきではない雰囲気が醸成され、ますます黙認と放置が成り立っているのでした。
 そこへインターネットの普及とメディアミックスの一般化が業界をごたまぜにし、様々なツールとノウハウの発展がプロとアマの境界線を曖昧にし、商品の電子化と違法ダウンロードという新たな商売と頭痛の種がいっぺんに流行したのでした。
 しかもその上、日本の出版業界は慣習上、厳密な契約を後回しにした制作と販売を常としてきたため、「あれとこれはどう違うのか」とか「なぜあれは許されてこれは許されないのか」といった線引きを半ば意図的に曖昧にしてきたので結局は全てがグレーゾーンであり、プロの作家ですら灰色の世界でものを書いているという有様なのだと、そろそろはっきり言うべき時代に来たのです。

 その端緒となったのがメディアミックスの隆盛であり、複数の異なる業界がめちゃくちゃに激突し合う商法が一般化し、まず「誰がどれほどの労力と時間と金を支払うのか」を根拠に、「誰がその管理をするのか」と、「誰がどれだけその見返りをもらうのか」を決めねばならず、業界や個人の力関係で全部決まっていた、もっぱら出版とテレビと音楽と映画の業界とついでに銀行による横暴な時代はその名残をだいぶ残しつつもどうにか過ぎ去ったらしいとみなされ、昨今では常識的かつ公正な契約が避けられないようになりました。

 当然、ここで最も重要なのは「見返りをもらう人間を限定すること」であり、「作品づくりに労力も時間も金も投入せず、広告費すら出さない上に何の権力も持っていないにもかかわらず、大事な作品を個人的な利益を得るために利用しようとする人間」を排除せねばなりません。
 そうした状況下における許可なき二次利用は、ただでさえ複雑な権利関係をさらにややこしくする上に、その発行数も売り上げも不明でまかり通っていたという馬鹿げた事態が判明したことから、この国において警察や自衛隊をも上回る最強の権限を有してはばからぬ、かの国税の本格的な介入を促すこととなりました。
 印刷所やCD製作会社のもとに地元の税務官がやって来ては、どれが同人誌やアングラものであり、どれが出版社や音楽会社のものか把握し、把握できない場合は今我々がいるお前たちの会社の方を把握するという、しごくまっとうな指導を行うなどとは、かつて夢にも思われなかった時代になったものなのです。

 また、こうした背景の一つに、日本のエンタメ・コンテンツの年間売上げ額が、日本が誇る自動車産業の三分の一に匹敵するという事態になり、政府(と国税)が本腰を入れて注目する一方、大企業やファンド商売をはじめとする大資本軍勢がエンタメ・バブルを仕掛けるようになったことがあります。
 誰もが資本主義の「来年の売り上げは今年の二倍」という大原則に忠実に従わざるをえなくなった結果、生産力が国内の需要を軽く上回るようになり、是非とも海外で売らねば全員が共倒れになりかねないという危機的状態が常態化したのでした。

 ※たとえば一年間に生産されるアニメーション作品を全て視聴するのに単純計算で三年かかるという数字を見たのが十年前のこと。今期は当時の新作本数を大いに上回るどころか最高記録を更新しかねないとのこと。

 そうした国内の膨張と海外への進出とハイタッチするかのように、契約社会の権化たるアメリカから電子書籍とオンデマンドという黒船がやって来ました。スティーヴン・キングが電子書籍で顎が落ちるようなダウンロード数を叩き出してから数年ほど遅れての到来でした。
 電子書籍が収入と呼ぶにふさわしい金額を作家にもたらしてくれるような時代はあと半世紀ほど先のことだと思われていたにもかかわらず、国内のサイトや電子書籍業界の尽力に加え、アマゾンとキンドルが完璧な仕組みを作って日本へ持ち込み、さらには携帯可能な小型端末が普及したものだから、火薬の上にガソリンをまいて爆弾を落とすように、かつてない市場がほんの数年で爆発的に形成されました。
 お互い「初めまして」の挨拶を交わすだけでも弁護士を通さねばならないたぐいの契約社会と、紙と音楽と電子を通してあらゆる領土が地続きになったため、国内の出版社までもが一斉に契約書作りに励まねばならなくなり、そもそも「原作権」にしてすなわちオールライツという考えてみれば呆気に取られるほどの全権利を有している作家というものの扱いが、そこはかとなく変わり、多分これから愕然となるほど大いに変わっていくことになるのです。

 そうした状況下において当然のことながら「違法ダウロード」という言葉は、契約を後回しにして生産性と融通を優先させてきたこの国の業界の耳はロバの耳であると叫ぶに等しい衝撃とともに、海外との信頼関係を根絶やしにしかねないほど重大な影響を及ぼすようになり、十把一絡げに逮捕者が続出してしまう馬鹿げた有様となった上にその傾向はこれから倍増するに違いないのでした。

 このような時代において何より重要なのは、「みんながきちんとすること」であり、それはつまり隣の垣根との境界線をはっきりさせることから始めねばならず、そもそも黙認と放置が慣習であったと平然と言ってしまえるこの社会の各業界においては、誰かがどこかで始めねばならない、というのがまさしくこの今この瞬間の状況であるのです。

 何をまず重要とみなすか、ということすら人それぞれであるというカオスぶりを、いっそ誰もが楽しんで傍観したくなるであろうこの状況下において、とにかく「原作者が己の権利のうち何をどこまで何者に認めるか」を定め、いったい「何のために認めるか」を明確にし、その大前提として「二次創作」と「海賊版」の違い、ダウンロード販売と投稿サイトと違法ダウンロードの違いを、根拠をもって説明すべきであり、ひいてはその全てを明文化して、最低でも制作者と販売者と消費者の共通了解とせねば、国内市場でのみ融通を利かせていた暗黙が大前提の前時代的なやり方は、いずれのきなみ壊滅するであろうという昨今なのです。

 続きは後日。


2014年7月3日木曜日

【久々に】※本日のお知らせ※【やらかします】

「冲方サミット・2014初夏の大報告会」開催!

各社協力をし合って冲方丁作品をより盛り上げていこうという命題のもと、冲方丁本人をはじめ、冲方丁関連書籍を発行する各出版社やビデオメーカーのスタッフ一同が集結した組織・“冲方サミット”。
毎月1回、参加出版社オフィスにて定例で開催される“冲方サミット”会議に加え、これまでに「OPEN-冲方」、「マルドゥック・スクランブル トークイベント」、「忘年会サミット」「新春サミット」と題したイベントを積極的に展開し、さらには冲方丁そして各社希望の報酬を賭けあってのガチンコ・カジノバトルも決行。
さらには、公式ホームページやニコニコ動画専用チャンネルを開設するなど、精力的に活動中!

そんな「冲方サミット」が、2014年初となる、久しぶりのトークイベントを開催!
第1部では、冲方サミット各社より冲方丁関連作品の最新情報をどこよりも早くお知らせ!
話題の『攻殻機動隊ARISE border:3 Ghost Tears』の情報をはじめ、新シリーズが始動する「蒼穹のファフナー」のコミカライズ情報、冲方丁時代小説シリーズ「天地明察」「光圀伝」「はなとゆめ」や、近藤るるる×冲方丁による新作「ガーゴイル」、コミカライズも展開中の「もらい泣き」「シュピーゲル」シリーズの動向などなど、数々の冲方作品の近況について迫ります!
そして第2部では、「冲方サミットより大提案!」と題した謎のプレゼンパートを開催。
今後さらに革新的な動きを見せるための大提案を、会場の皆様に披露いたします!
一体どんな無茶振り…もとい提案が飛び出すのか!?乞うご期待!!
さらに、毎度好評の大抽選会も開催いたします!
今回も、冲方先生はじめサミットメンバーと一緒に、楽しい宴のひと時を過ごしましょう!
ぜひ会場に足をお運びください。

<イベント概要>

「冲方サミット -2014初夏の大報告会-」

【出演】
冲方丁&冲方サミット関係各社(KADOKAWA、キングレコード、講談社、集英社、少年画報社、早川書房/50音順)

【日程】
7月13日(日) 16:30 OPEN/17:00 START

【会場】
BENOA銀座(東京)
〒104-0061 東京都中央区銀座6-13-16 B3F

【料金】
2500円(※税込、ドリンク飲み放題付き)

【イベント参加方法】
公演名:「冲方サミット -2014初夏の大報告会-」
公演日:2014年7月13日(日)
会場:BENOA銀座(東京)

Lコード:38608

発売日:2014年7月5日(土)10:00~ 一般発売

~チケット購入方法(一般発売)~
◆ローソンまたはミニストップ店頭「Loppi」直接購入
◆WEB予約:WEBサイト「ローチケ.com」
  http://l-tike.com/(PC・モバイル共通)
◆電話予約:Lコード専用ダイヤル(自動音声対応/Lコード入力必要)
  TEL:0570-084-003

※一部、システム利用料210円または発券手数料105円がかかります
※出演者、内容は予告変更となる場合がございます。予めご了承下さいませ。
※都条例により18歳未満の方の入場はできません。

●冲方サミットについての情報はコチラから!
公式ホームページ → http://ubukata-summit.jp/
公式twitterアカウント → @ubukata_summit

たくさんのご参加、お待ちしております!
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宜しくお願いします! 冲